この記事では、タワーマンションの表と裏を知り尽くした私が「タワーマンションのメリットとデメリット」を「住む」と「購入」の2つの面から徹底的に解説します。
私は不動産会社の社員として、マンションの「開発」「販売」「管理」と上流から下流までの全てを経験しました。
更に、2回のマンション購入経験があり、現在もタワーマンションのオーナー兼居住者です。
購入時には「価格が上がったら、売却するのもアリかな」と思っていました。ところが今は「一度タワーマンションを経験してしまうと、なかなか他のマンションには住めないな」というのが正直な思いです。
- タワーマンションに憧れている人
- タワーマンションに住んで後悔したくない人
- タワーマンション居住者の体験談を知りたい人
以上の他「何となくタワーマンションに興味がある人」にとっても、有益な記事になっているので、是非とも最後までお読みください。
タワーマンションに住むメリット9選
1.高級住宅に住んでいるというステータス
「タワーマンションに住んでいる」と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?
「お金持ち」「おしゃれ」「都会に住んでいる」などなど
タワーマンションに住んでいる人が、最も強く感じるものが「高いステータス」です。
- 街の中心部にそびえ立つ存在感
- 洗練された外観
- ホテルのようなスタッフにサービス
- カーペットが敷かれた高級感のある内廊下
- バルコニーから臨む夜景
その全てがタワーマンション居住者の所有欲を満たしてくれます。
2.最高の景色
タワーマンションのメリットというと、まっさきに「眺望(景色)」をあげる方が多いでしょう。
タワーマンションは周囲の建物より背が高いことが多いです。そのため、窓から街の景色を見渡すことができ、きれいな夜景や公園が見ることができます。場所によっては東京タワーやスカイツリーなど、シンボリックな建築物などが見えることも魅力の一つです。
実際に眺望で部屋の購入価格は大きく変わります。例えば、10階以上の部屋からはレインボーブリッジが見えるマンションがあったとすると、9階と10階の価格差は100万円以上になることがあります。ちなみに、このケースで8階と9階の価格差は10〜20万円程度でしょう。
それだけ「眺望にはお金を払う価値がある」ということです。
とはいえ、低層階であっても、タワーマンション自体が広い敷地に建っています。「バルコニーの目の前に建物がある」といった圧迫感を感じることは、ほとんどありません。
同様の理由により「日当たり」がよいというのもタワーマンションのメリットの一つです。低層階であっても北向きであっても、日光を遮られる可能性が少ないといった特徴があります。
3.ホスピタリティ
タワーマンションの魅力に「ホテルのような暮らし」ができることがあげられます。例えば「コンシェルジュがいる」「接客用の広いラウンジがある」「24時間スタッフが常駐している」などです。ハードとソフト両面のサービスが充実しており、高いホスピタリティを感じることができます。
ちなみに、管理会社の目線でいうと、タワーマンションは高収益かつ管理しているだけで宣伝になる物件のため会社としてのモチベーションが高く、率先して高品質なサービスを提供します。
4.充実した設備/スケールメリット
タワーマンションには、フィットネス・ゲストルーム・スカイラウンジ・プールなどなど、一般的なマンションにはない設備があります。
何故タワーマンションの設備は充実しているのでしょうか?
その理由は「スケールメリット」です。大人数でお金を出し合っているから設備に投資することができるのです。
共用施設の種類はマンションによって異なりますが、本当に多様な施設があります。
私が直接見たものだけでも「フットサルコート」「展望台」「カラオケ」「ゴルフシミュレーションスタジオ」「キッズルーム」「スタディルーム」「岩盤浴」などなど、あげればキリがないほどです。
このような多様な共用施設もタワーマンションの魅力の一つです。
5.生活利便性
タワーマンションはそれ自体が「一つの街」なので、1階にスーパーやコンビニが入っていることが多く、雨に濡れずに買い物に行くことができます。
また、各フロアにゴミ置き場があり、いつでもすぐにゴミを出すことが可能です。
コンシェルジュに依頼すれば「クリーニングの取次」や「タクシーの手配」など、それこそホテルのようなサービス受けることができます。
6.防災/耐震性
日本は地震が多い国なので、耐震性が気になる方も多いでしょう。タワーマンションは建物自体が非常に強い建造物なので、耐震性の面からも安心感があります。
地震のニュースでも「タワーマンションが倒壊した」という報道を見ることはありませんよね。タワーマンションは免震/制震構造であることが多いため「建物のゆれが低減される」といった特徴もあります。※家具の転倒防止策は、しっかりと行うことをおすすめします。
人命救助の視点で見れば、タワーマンションは津波被害にも強いです。映画に出てくるような「日本沈没」レベルになると話は別ですが、タワーマンションが津波に流されることを心配する必要なないでしょう。
近年はタワーマンションの設備が水没して「トイレが逆流した」ことが話題になりました。その他にも停電・断水のリスクを考慮して、設備の水没を防ぐために止水板を購入しているマンションも多くあります。
7.防犯対策
「高いセキュリティ」もタワーマンションの人気がある理由の一つです。一般的なマンションでは、オートロックはエントランスの一か所であることが多いです。
一方タワーマンションは「エントランス」「エレベーターホール」「エレベーター内」と複数個所にセキュリティがあります。更に24時間管理スタッフが常駐しているので、防犯面で非常に安心感があります。
8.人脈が増える
タワーマンションに住んでいると、同じマンションや同じ学校・保育園に通わせているご両親が高学歴であったり、大企業に勤めていたりと、高スペックな方と知り合う機会が多くあります。仕事で接点を持つことが難しい人でも、プライベートで共通の話題があるので、仲良くなりやすいことも隠れたメリットの一つです。
9.マンション内でパーティーが開ける
タワーマンションには、高層階にバーやラウンジ、パーティールームなどがあります。このスペースは居住者であれば借りることができるので、イベントスペースのように利用できることのもタワーマンションに住む大きな魅力の一つです。
以前に私の知り合いが、マンション内40階のバーラウンジで「合コンパーティー」を頻繁に開催していました(笑)
ただし、会費を徴収するようなケースでは、事前にマンションのルールをよく確認してください。
タワーマンションに住むデメリット4選
1.家賃が高い
タワーマンションに「住みたくても住めない」利用のトップは「家賃が高い」ことでしょう。家賃(60㎡月額)は東京都港区だと30万円、埼玉県川口市だと15万円程度です。近隣のマンション相場と比較すると高いと感じると思います。
2.エレベーター待ちが長い
タワマン住まいの悩みの種は「エレベーター待ちが長い」ということです。定員は9名程度なので、せっかく来たエレベーターに定員オーバーで乗れないということもあります。
タワーマンションでは階数毎にグループ分けされていることが多いですが、高層階は特に時間が掛かります。
3.階段がつらい
タワーマンションで日常的に階段を使うことはありません。めったにないことですが、災害時などで停電になると階段地獄が待っています。
特に高層階に住んでいる方は、何度も移動しなくてすむように「災害用の備蓄」をしておくことをおすすめします。
4.駐車に時間がかかる
多くのタワーマンションに設置されている「タワーパーキング」は本当に時間かかります。予約や順番待ちが重なると、出庫までに10分以上かかることがあります。
一部平置き駐車場もありますが、希望者が多いため倍率が高く使用料も高額です。(都心だと5万円以上/月額となることも)
タワーマンションを購入するメリット4選
1.価格が下がりにくい
タワーマンションは人気があります。そして数が増えたとはいえ、未だに希少性は高いです。需要と供給の関係で、タワーマンションの価格は高止まりする傾向があります。
逆に一般的なマンション(特に郊外)は中古価格が下落する傾向があります。
マンションは大きな買い物ですので、リスクがないということはあり得ません。それでも、しっかりと物件とタイミング見極めれば、タワーマンションは資産となります。
2.支払ったローンは資産となる
賃貸と比較した購入の大きなメリットに「賃貸は掛け捨て」「ローンは資産になる」といった考え方があります。
例えば、5年間住んだマンションが購入時と同じ価格で売却できた場合、支払ったローンが売却益として戻ってくるケースです。(金利・仲介手数料・諸費用・税金分は引かれます)
タワーマンションは購入時より値上がりすることもあるため、多額の売却益が出る事例もあります。
3.ローンのほうが家賃より安いケースが多い
実は、賃貸より購入したほうが月々の支払いが少ないケースが多いです。そして、タワーマンションのほうが金額差が大きくなる傾向があります。
例えば、ローン+管理費+修繕積立金の合計が15万円のマンションを賃貸で住んだ場合、家賃20万円以上は必要です。
賃貸は「いつでも引っ越しができて身軽」などのメリットがある分、家賃は高くなります。
4.減税や保険などの補助が手厚い
住宅を購入すると、国から受けられる補助に「住宅ローン控除」という制度があります。ローンを組んで住宅を購入すると所得税が減税される制度です。
また、住宅ローンを申し込む際に「団体信用生命保険」という保険に入ることになります。ローン返済中に死亡したり、高度障害になったりしたときに、残額を保険で支払ってもらえる保険です。
タワーマンションは高額なので、その分享受できる補助が大きくなります。
タワーマンションを購入するデメリット3選
1.維持費が高い
タワーマンションは設備が充実していますが、その分維持費も高い傾向があります。特に機械式駐車場とプールは、メンテナンスに費用が掛かるため「金食い虫」と言われる程です。ラウンジにあるソファも高級品であることが多く、交換費用が負担になるケースもあります。
これは販売サイドの裏話ですが、修繕積立金は値上げを前提に設定されています。最初の金額を安くした方が、月々の支払額を安く抑えられるため、売れやすいからです。しかしながら、トータルで必要な修繕費は変わらないので、最初に安くしたしわ寄せを、将来受けることになります。
2.眺望の変化
タワーマンションの価格は眺望で大きく変わります。
ここで問題なのが、眺望は永遠ではないということです。バルコニーの目の前が海でもなければ「眺望を遮るような高い建物」が建つ可能性がなくなることがありません。眺望を目的にタワーマンションを買うことはリスクがあることを覚えていただければと思います。
ちなみに、タワーマンションであれば建物間の距離は確保されるため、眺望が遮られても「日当たり」が悪くなる可能性は低いです。
3.大規模修繕の先行事例が少ない
タワーマンションは一般的なマンションに比べて歴史が浅いです。そのため、参考になる事例が乏しいため、将来の見通しが立てにくいというリスクがあります。
具体的には「積立ててきた修繕費用が足りなくなる」「そもそも技術的に修繕工事ができなくなる」などの想定外の状況が起こりうるということです。
タワーマンションに住んで感じたこと
ここで私が実際にタワーマンションに住んでいて、実感したことをあげさせていただきます。
1.南向きは暑くない
不動産業界には「タワマンは北を買え」という格言がありますが、私は懐疑的に考えています。「夏は日当たりが良過ぎて暑い」という意見がその根拠ですが、実際には夏は日が高いので、部屋の中まで日光が届きません。
逆に冬は日が下がるので部屋の中まで日光が届いて暖かく、冬場でも晴れている日は空調がなくても過ごせます。
一方でタワーマンションが多い東京の湾岸エリアは「都心から見て南」に位置しているので、北向きのほうが都心の夜景が見えて眺望が良いというケースはあります。
2.虫を見なくなった
一般的にマンションは戸建てに比べて虫(特にゴキブリ)が少ないのが特徴です。タワーマンションは更に少なく、私は家の中でゴキブリを見たことがありません。
蚊が入ってくることはあるので、特に夏の暑さが収まってきた秋口は、網戸の使用をおすすめします。
3.ゴミ出しが本当に快適
私個人の事例ですが、玄関の真正面にゴミ置き場に繋がる扉があります。そのため、部屋を出て1分でゴミ出しが完了します。目の前でなくても、タワーマンションは同じフロア内にゴミ置き場があるので大変快適です。
ちなみに「ゴミ置き場が近いから臭いが気になる」といったことは、全くありません。
4.タワマンカーストはない
これもよく言われることで、テレビドラマの中でも「〇〇階の〇〇さん」と居住階数で差別する描写がありました。しかしながら、私はタワーマンションの居住者で、階数でマウント取る人を見たことがありません。
そして実は、低層階でも「面積が広い」「高級仕様(エアコンが天井埋め込み型など)になっている」など、階数以外の価格を決める要素もあるため「低層階=安い」と一概には言えないのです。
5.コミュニティ活動は任意
若い子育て世代が多いマンションでは、七夕はハロウィン、クリスマスの演奏会など、子供が楽しめるイベントも多く開催されています。参加を強制されることはなく、予定や希望に合わせて自由に参加することができます。
6.有名人が住んでいることも…
これもよく質問されることですが、実際にテレビで見かける方とすれ違うことはあります。
とはいえ、皆さん同じ1人の居住者なので、声を掛けることはありません。ただ、子供に人気がある方だと騒がれてしまうことはありますね。
タワーマンションの後悔しない選び方3選
1.実は低層階がねらい目
「タワマンは眺望が全てだから低層階に価値はない」という意見もありますが、実は低層階に住むメリットは多くあります。
低層階でも最上階のラグジュアリー住戸でも、利用できるサービス・施設は同じです。「3階に住んで40階のラウンジでホームパーティーを開く」といった使い方が可能です。
もちろんジムもゲストルームも使えますので、タワーマンションのメリットを十分に享受することができます。
2.周辺エリアの将来性をイメージする
タワーマンションは、大手の不動産会社が事業主であることが多いです。そのため「街づくり」と一体となって、マンションの開発が進んだ事例が多数あります。
今は周辺に何もない場所であっても、近い将来に街の開発が進んで、生活利便性と資産価値が上がることは、十分にあり得る話です。
過度な期待は禁物ですが、街の成長を見守ることも、楽しみの一つと言えます。
3.まずは賃貸で住んでみることも
タワーマンション購入はメリットがあるものの、非常に高価な買い物であることは間違いなく、住宅ローンの審査も必要です。
まずは賃貸で住んでみて、タワーマンションを体験してみるといった方法もあります。
家賃は安くないですが、限られた予算でも立地や居住面積を選ばなければ、支払い可能な額に収まる物件もあるでしょう。
まとめ
ここまでタワーマンションのメリット・デメリットを、体験談も含めて解説してきました。
「タワーマンションに住む人は見栄っ張りだ」なんて言われることもありますが、一般的なマンションや戸建では味わえない体験ができるのも、タワーマンションに住む魅力の一つです。
決して安い買い物ではありませんが、タワーマンションを検討する機会に、本記事を参考にしていただければ幸いです。
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